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ADSLインターネット
− ブロードバンド時代へ −
常時インターネットに接続したい、動画配信サービスを利用したい、高速/定
額でインターネットに接続したいといった、インターネットの利用ニーズも最
近では、より高いものが要求される時代になりました。
到来した高速広帯域といわれるブロードバンド通信は、家庭に光ファイバーと
いった初期費用や工事がかかってしまうインフラよりも、既存のCATV放送
網を利用したCATVインターネットなどの方がメリットがあります。
既存の放送/回線網をインターネット接続に利用することは、サービス提供事
業者が新たに電柱やケーブルを敷設する必要がないため、ユーザーは低料金と
高速でインターネット接続ができるのです。
− ADSLとは? −
既存配線網はケーブルテレビ局のCATV放送網だけではありません。電話配
線もそのひとつで、本来の音声通話に使われていないチャンネル(帯域)の隙
間をネットワーク接続に使用するxDSLサービスが登場しました。その中で
もCATVインターネットと同様に非対称性でやりとりされるADSL
(Asymmetric DigitalSubscriber Line)インターネット接続が全国に急速に
エリア拡大しております。
●非対称性通信
インターネット接続は私達のコンピューターから見たいページをリクエストし
て、そして接続したサイトのサーバーからページなどのデータが送られてきま
す。お互いのやりとりされるデータは、こちらのリクエストのデータよりも相
手側から送られてくるホームページなどのテキストや画像、ソフトなどのダウ
ンロードデータの方が圧倒的に多いため、ユーザーからの接続側(上り)より
もユーザーが受け取る側(下り)の回線の帯域を大きく確保して、下り回線の
通信速度を高くしたものが非対称性の通信です。さらにその非対称性の割合に
よって、ADSLにも様々な規格方式もあります。
− 各社のADSLサービスについて −
ADSLは家庭に引き込まれた電話線などのケーブル1本で、電話を利用しな
がらインターネットにも接続できるという大きなメリットがあり、さらにIS
DNよりも高速接続が可能であること、新たにケーブルを引き込む工事などが
不要なことから、今後広く普及していくことでしょう。
ADSLによるインターネット接続には、参入事業者によって様々な形態があ
り、料金やサービスエリアも様々です。主なサービス形態は次の通りです。
■NTTのフレッツ・ADSLサービス
■ADSLサービス事業者の提供サービス
■(特例:地域放送網を利用した独自運営による提供サービス)
− 1.事業者別のADSLサービス種類 −
ADSLには技術的規格にも種類があり、最高速度もADSL事業者によって
も違いがあり、さらにインターネットに接続するまでの形態も様々です。
1−1.フレッツ・ADSL
フレッツ・ADSLはプロバイダへインターネットに接続するためのサービス
で、別にADSL対応のプロバイダに加入する必要があります。つまり通信費
だけのサービスですので、自分の好きなプロバイダに加入することができます。
今まで利用していたプロバイダのプラン変更のみでメールアドレスも変わらず、
簡単に移行できることもあります。ADSLに対応するプロバイダであれば、
今お使いのプロバイダのままでADSLインターネット接続にできます。
NTTのフレッツ・ADSLの通信速度1.5Mbps(下り)では、ISD
Nの約20倍という高速なインターネット接続と料金の定額制が魅力です。
●加入前の対応状況確認
・利用地域でフレッツ・ADSLサービスが開始されていること
・利用するプロバイダがフレッツ・ADSLサービスに対応していること
1−2.各ADSL事業者
フレッツ・ADSL同様にプロバイダ料別の場合と、インターネット接続(プ
ロバイダ料)込みの場合の2つのパターンがあります。
ADSLサービス事業者が提供する規格では、通信速度8Mbps(下り)の
サービスもあり、事業者によってプロバイダ料(インターネット接続代)込み
の場合もあったり、別途プロバイダに加入する必要がある場合もあります。
●加入前の対応状況確認
・利用地域でADSLサービスが開始されていること
− ADSL回線の契約タイプについて −
ADSLは電話回線を利用します。そのため電話回線を契約して所有している
方とお持ちでない方は料金体系も含めて利用料金や申し込み方法が異なります。
NTTの一般電話を利用している方で、その回線をADSLサービスと共有さ
せる場合は「タイプ1」、電話回線を所有しない方や電話とは別にADSL専
用回線を設置したい方向けの「タイプ2」があります。
一般電話回線を所有しない、または契約していない方(一般電話回線をお持ち
でない方)が、電話は利用せずにADSLサービスのみを受けたい場合、さら
にISDN回線をお持ちの方は、ADSL通信に使用する信号と重複してしま
う関係から、一般的なアナログ回線契約に戻す必要があります。この場合、電
話番号などが変更になってしまうこともあることから、今後もISDN回線を
確保したい方などは、別口でタイプ2の契約をおすすめします。
タイプ2は一般加入電話と共有しないため、新たに通信回線を確保する必要が
あるため、タイプ1に比べて毎月の利用料金がやや高く設定されます。
− 加入/申し込み段階での注意点 −
ADSLはISDNに比べ、高速であるため信号は非常に周辺環境の影響を受
けやすい特性があります。この特性が関係すると、以下の部分でADSLの導
入にあたり検討や注意する必要があり、回線など技術的な基準が満たされてい
ない場合は別途工事の請求や加入できないこともあります。
●加入前の技術的な事前確認
■ISDN契約の場合、対応について事前にNTTへ確認を行います
■ホームセキュリティーを利用している場合は加入会社へ確認連絡
■公共料金の自動検針サービスを利用している場合は加入会社へ確認連絡
●導入の際の技術的な問題(NTT対応レベル)
■利用場所からNTTの交換局までの距離(ケーブル長)
■交換機局内の配線経路と機器の修正/チューニング
(お申し込み後、NTT側で回線チェックを実施し、加入の可否や機器の再
調整が必要か調べた上で報告が届き、パスすると加入手続きに入ります。)
(さらにADSL回線開通後にプロバイダに変更手続きを行います。)
− インターネット接続への種類 −
ADSLは一般の各種メタルケーブルに信号を重ねて送るため、さらにインタ
ーネットに接続されるまでには色々な種類があります。
[NTTによるADSL接続サービス]
NTTが提供するものは、ADSL技術を利用したプロバイダへの接続のみを
提供するため、現在のダイヤルアップやISDN、フレッツ・ISDN同様に
ADSLに対応できるプロバイダへの加入が必要になります。
また加入されているNTT電話回線の収容交換局において、ADSL接続サー
ビスを提供する加入プロバイダがその交換局においてADSL経由の接続に対
応していなければ、ADSL対応プロバイダでもADSLサービスを受けるこ
とができないため、事前にプロバイダに問い合わせることをおすすめします。
これはNTTの交換局内において、プロバイダ毎にADSL接続利用者のため
に交換局内に機器を設置してサービスを実現させるため、加入地域の交換局の
対応によってADSLサービスを提供できないことがあるためです。
[ADSLサービス事業者によるADSLサービス]
新規参入事業者は、家庭に既設されているNTT回線などを借り受け、独自の
プロバイダとなることで、ユーザーは提供されるADSLモデムとNTTの回
線を経由して、その事業者へ接続され、最終的にインターネットへ接続されま
す。NTTの電話接続よりも低額の料金を設定し、さらにISDNよりも高速
で接続できるようにしているようです。
上に紹介したNTTのADSL接続サービスは、接続するサービスだけである
ためインターネットに接続するには、さらに対応プロバイダに加入する必要が
ありますが、このサービスの場合にはプロバイダサービスまで全てカバーして
いるため、料金の支払いなども一元化することができ、低価格で便利です。
この3パターンが現在では基本となっております。将来的には各社が所有する
通信網などでも家庭との接続に用いられるかもしれません。
[地域の有線放送によるADSLサービス]
先にも紹介したように地域の有線用ケーブルを利用する場合、その運営してい
る放送局内にインターネット接続システムを導入して独自のプロバイダとなり、
加入者へ提供されるADSLモデムを経由することで、インターネットに接続
を実現させます。
− ADSLサービスのシステム −
ダイヤルアップ接続の場合「モデム」または「TA」が必要でしたが、ADS
Lでは「ADSLモデム」とよばれる専用モデムを利用します。このモデムは
電話回線上でインターネット接続を可能にするための機器で、基本的に月額数
百円でレンタルされるのが一般的です。レンタル性はユーザーのメリットは大
きく、自然故障したときに無期限で無料交換などのサービスが受けられ、初期
負担も軽くなります。
最近では買い取り性や機器メーカーから販売されているものを用意しても利用
できるようになりましたが、種類の違いによって対応できない場合もあります。
さらに電話などのサービスを受けている配線にADSL技術で信号を重ねてい
るタイプ1の場合には、本来の電話サービスとADSLサービスとの信号/配
線を分ける「スプリッタ」と呼ばれる装置が必要になります。
専用通信モデム名 「ADSLモデム」
ADSLモデム(カナダの大手電話会社「ベル」の子会社が提供しているAD
SLサービスでレンタルされるモデム)
− 配線構成 −
まず保安器からの電話回線には本来の電話など信号に加えて、インターネット
のADSLの信号が重ねられています。この回線をまずスプリッタに接続して
今まで接続されていた電話に接続する端子とADSLモデムに接続する端子を
分岐させます。(日本ではタイプ2の場合にはスプリッタは利用しません。こ
のスプリッタは信号を分岐させる特性から、外部ノイズに対しても有効な部品
で電話側に多く入れるほど電話側のノイズが少なくなるという報告もあります)
スプリッタで分岐された電話端子には今まで接続されていた電話などの機器を
接続します。ADSLモデム側の端子にはADSLモデムを接続します。
ADSLモデムにはLAN端子が用意されており、PCにLANボード/カー
ドを導入し、ケーブルで接続することで完了です。普通の電話回線用のモデム
は必要なくなりますが、バックアップ用などの予備回線として確保できます。
ネットゲームやICQなどのIPなどを利用するインターネットサービスにつ
いては、各CATV局がユーザーに提供するサービスや設定などにより異なり
うまく動作しない場合もあるようです。詳しくは、各事業者に問い合わせてみ
てください。
スプリッタ機能を内蔵しているタイプのADSLモデム。電話回線がまずAD
SLモデムの電話回線端子に入り、家庭内の電話配線用の端子に電話などを接
続します。ADSLモデムのLAN端子からPCに接続します。
− ADSLインターネット&家庭内LAN −
ADSLのインターネット接続のためにPCには「LANボードやカード」が
用意されたと思います。そのLANボードをインターネット接続のためだけで
利用していてはとてももったいない使い方かもしれません。工夫をするとひと
つのLAN機能で、インターネットと家庭内LANを同時に利用ができる環境
が構築できますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
詳細は「インターネット&家庭内LAN」ページで紹介しております。
CATVインターネット用の説明もありますが、ほとんど同じ環境ですのでフ
ィルタリングチェックやバインドなどのセキュリティ設定も確認しながら安全
に構築してください。
− 制限や注意点 −
各ADSL事業者によって異なりますが、せっかく用意したLANに各種制限
を受ける場合があります。
- ノイズ対策
先にも紹介したように、引き込まれた電話線やメタルケーブルは一度スプリッ
タ機能を通過して電話などとADSLの通信部分を分岐させます。しかし家庭
内の電話配線などからノイズが混入するとADSLの通信に大きな影響を与え
る場合があるので、ノイズフィルターなどによる対策も必要なこともあります。
特にプリンターやFAXといった情報家電や機器から発生するノイズがADS
Lモデムに混入すると通信が異常になり、不通になるという報告もあります。
LANケーブルを引き伸ばしたり、HUBを利用して多くのユーザーがADS
Lモデムを共有する場合は、PC側のLANケーブルの根元やADSLモデム
側の根元にノイズフィルターを利用して対策も考えてみましょう。しかし基本
的には通信部分はLANのインターフェイスを利用しているため、ほとんどノ
イズ対策はしっかりできています。
通信障害という観点からPCやネットワーク側に目を向けて対策を施して解決
しない方も多いようですが、FAXや電話などといったADSLと共有される
「電話ライン側」から混入するノイズの方が悪影響を与えるため、FAXや電
話機側の根元、さらにADSL側の電話ラインにも根元にノイズフィルターを
利用することをお奨めします。
- 接続コンピューター数
- ファイルやプリンタの共有の制限
- サーバー・ルーターなどの制限
各説明はCATVインターネットページに記載されている内容と同様です。
- その他
ADSLは一般的なメタル配線で高速データ通信を実現させるために開発され
た技術です。そのため電話線以外にも地域放送網などを利用したADSLサー
ビスも存在します。この場合は電話配線と共有せずに地域放送網を利用します。
詳細などは各事業者へ問い合わせください。
Last updated; 2012.2.1
Last updated; 2001.8.12
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